第2節 不動産とその価格の特徴

第2節 不動産とその価格の特徴 

不動産が国民の生活と活動に組み込まれどのように貢献しているかは具体的な価格として現れるものであるが、土地は他の一般の諸財と異なって次のような特性を持っている。 

 (1)自然的特性として、地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、不増性、個別性(非同質性、非代替性)等を有し、固定的であって硬直的である。 

 (2)人文的特性として、用途の多様性(用途の競合、転換及び併存の可能性)、併合及び分割の可能性、社会的及び経済的位置の可変性等を有し、可変的であって伸縮的である。 

不動産は、この土地の持つ諸特性に照応する特定の自然的条件及び人文的条件を与件として利用され、その社会的及び経済的な有用性を発揮するものである。そして、これらの諸条件の変化に伴って、その利用形態並びにその社会的及び経済的な有用性は変化する。 


不動産は、また、その自然的条件及び人文的条件の全部又は一部を共通にすることによって、他の不動産とともにある地域を構成し、その地域の構成分子としてその地域との間に、依存、補完等の関係に及びその地域内の他の構成分子である不動産との間に協働、代替、競争等の関係にたち、これらの関係を通じてその社会的及び経済的な有用性を発揮するものである(不動産の地域性)。 

このような地域には、その規模、構成の内容、機能等に従って各種のものが認められるが、そのいずれもが、不動産の集合という意味において、個別の不動産の場合と同様に、特定の自然的条件及び人文的条件との関係を前提とする利用のあり方の同一性を基準として理解されるものであって、他の地域と区別されるべき特性をそれぞれ有するとともに、他の地域との間に相互関係にたち、この相互関係を通じて、その社会的及び経済的位置を占めるものである(地域の特性)。 


このような不動産の特徴により、不動産の価格についても、他の一般の諸財の価格と異なって、およそ次のような特徴を指摘することができる。 

 (1)不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示される。そして、この価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。 

 (2)不動産の価格(又は賃料)は、その不動産に関する所有権、賃借権等の権利の対価又は経済的利益の対価であり、また、二つ以上の権利利益が同一の不動産の上に存する場合には、それぞれの権利利益について、その価格(又は賃料)が形成され得る。 

 (3)不動産の属する地域は固定的なものではなくて、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にあるものであるから、不動産の利用形態が最適なものであるかどうか、仮に現在最適なものであっても、時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、これらは常に検討されなければならない。したがって、不動産の価格(又は賃料)は、通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される。
今日の価格(又は賃料)は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。 

 (4)不動産の現実の取引価格等は、取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、しかもそれは個別的な事情に左右されがちのものであって、このような取引価格等から不動産の適正な価格を見出すことは一般の人には非常に困難である。したがって、不動産の適正な価格については専門家としての不動産鑑定士の鑑定評価活動が必要となるものである。 



ポイント


書いてあることは大きく4つで、どれも重要です。
前半部分はとっつきにくいですが、「不動産」を「ビル」と読み替えると理解しやすいかもしれません。

■不動産の特性
土地の特性(自然的特性と人文的特性)を踏まえて、ある条件のもと(自然的条件・人文的条件)で利用される
・土地の特性は「自然的特性=場所的な違い」「人文的特性=使い方の違い」余裕があれば詳細を覚える

■不動産の地域性
・「地域にある不動産」と「地域」との間の関係は依存、補完
・「地域にある不動産」と「地域にある他の不動産」との間は関係は協働、代替、競争

■地域の特性
・論文試験で地域分析や地域要因について聞かれた際に、使いやすい定義なので暗記する価値はあります。

■不動産の価格の特徴
・経済価値の表し方は、価格と賃料。これは元本と果実の関係(≒預金と金利)
・2つ以上の権利がある場合、それぞれについて価格が形成され得る価格が付かない場合もある
・常に変化の過程にあり、過去と将来を考慮して形成される
・現実の取引価格は事情に左右されており、適正な価格は一般の人にはわかりにくい。(→鑑定士が必要)