第3節 不動産の鑑定評価

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第3節 不動産の鑑定評価 

このように一般の諸財と異なる不動産についてその適正な価格を求めるためには、鑑定評価の活動に依存せざるを得ないこととなる。 

不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。それは、この社会における一連の価格秩序の中で、その不動産の価格及び賃料がどのような所に位するかを指摘することであって、 

 (1)鑑定評価の対象となる不動産の的確な認識の上に、 

 (2)必要とする関連資料を十分に収集して、これを整理し、 

 (3)不動産の価格を形成する要因及び不動産の価格に関する諸原則についての十分な理解のもとに、 

 (4)鑑定評価の手法を駆使して、その間に、 

 (5)既に収集し、整理されている関連諸資料を具体的に分析して、対象不動産に及ぼす自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の影響を判断し、 

 (6)対象不動産の経済価値に関する最終判断に到達し、これを貨幣額をもって表示するものである。 

この判断の当否は、これら各段階のそれぞれについての不動産鑑定士の能力の如何及びその能力の行使の誠実さの如何に係るものであり、また、必要な関連諸資料の収集整理の適否及びこれらの諸資料の分析解釈の練達の程度に依存するものである。したがって、鑑定評価は、高度な知識と豊富な経験及び的確な判断力を持ち、さらに、これらが有機的かつ総合的に発揮できる練達堪能な専門家によってなされるとき、初めて合理的であって、客観的に論証できるものとなるのである。 

不動産の鑑定評価とは、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を、不動産鑑定士が的確に把握する作業に代表されるように、練達堪能な専門家によって初めて可能な仕事であるから、このような意味において、不動産の鑑定評価とは、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であるといってよいであろう。 

それはまた、この社会における一連の価格秩序のなかで、対象不動産の価格の占める適正なあり所を指摘することであるから、その社会的公共的意義は極めて大きいといわなければならない。


ポイント


鑑定評価の手順が書かれていますが、詳しくは第8章にあるので読み飛ばしましょう。

その他書いてあることは、
・鑑定評価は専門家の判断であり意見である。(知識や経験が豊富な専門家によって初めて可能なため)
・社会公共的意義が大きい。

優先して覚えるところはありませんが、後段の「不動産の鑑定評価とは、現実の社会~(中略)~的確には把握する作業に代表される」は、論文試験でも使いやすい記述なので覚える価値はあります。