Ⅱ 地域要因又は個別的要因についての想定上の条件

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Ⅱ 地域要因又は個別的要因についての想定上の条件 

対象確定条件により確定された対象不動産について、依頼目的に応じ対象不動産に係る価格形成要因のうち地域要因又は個別的要因について想定上の条件を付加する場合があるが、この場合には、依頼により付加する想定上の条件が実現性、合法性、関係当事者及び第三者の利益を害するおそれがないか等の観点から妥当なものでなければならない。 

一般に、地域要因について想定上の条件を付加することが妥当と認められる場合は、計画及び諸規制の変更、改廃に権能を持つ公的機関の設定する事項に主として限られる。 


(留意事項)
Ⅲ 「総論第5章鑑定評価の基本的事項」について

1.対象不動産の確定について 
 (1)鑑定評価の条件設定の意義 
   鑑定評価に際しては、現実の用途及び権利の態様並びに地域要因及び個別的要因を所与として不動産の価   格を求めることのみでは多様な不動産取引の実態に即応することができず、社会的な需要に応ずることがで    きない場合があるので、条件設定の必要性が生じてくる。 

   条件の設定は、依頼目的に応じて対象不動産の内容を確定し(対象確定条件)、又は付加する地域要因若し   くは個別的要因についての想定上の条件を明確にするものである。したがって、条件設定は、鑑定評価の妥   当する範囲及び鑑定評価を行った不動産鑑定士の責任の範囲を示すという意義を持つものである。 

 (2)鑑定評価の条件設定の手順 
   鑑定評価の条件は、依頼内容に応じて設定するもので、不動産鑑定士は不動産鑑定業者の受付という行為   を通じてこれを間接的に確認することとなる。しかし、同一不動産であっても設定された対象確定条件の如何   又は付加する地域要因若しくは個別的要因についての想定上の条件の如何によっては鑑定評価額に差異が   生ずるものであるから、不動産鑑定士は直接、依頼内容の確認を行うべきである。 

  ① 対象確定条件について 
   対象確定条件については、対象不動産に係る諸事項についての調査、確認を行った上で、依頼目的に照ら    してその条件の妥当性を検討しなければならない。特に、対象不動産が土地及び建物の結合により構成さ    れる場合又はその使用収益を制約する権利が付着している場合において、例えば抵当権の設定のための     鑑定評価、設定された抵当権をもとに証券を発行するための鑑定評価等関係当事者及び第三者の利益に     当該鑑定評価が重大な影響を及ぼす可能性のあるときは、独立鑑定評価を行うべきでなく、その状態を所     与として鑑定評価を行うべきである。 

  ② 地域要因又は個別的要因についての想定上の条件の付加について 
   想定上の条件を付加する場合において、 

   ア実現性とは、依頼者との間で条件付加に係る鑑定評価依頼契約上の合意があり、当該条件を実現するた    めの行為を行う者の事業遂行能力等を勘案した上で当該条件が実現する確実性が認められることをいう。な    お、地域要因についての想定上の条件を付加する場合には、その実現に係る権能を持つ公的機関の担当     部局から当該条件が実現する確実性について直接確認すべきことに留意すべきである。 

   イ合法性とは、公法上及び私法上の諸規制に反しないことをいう。 

   ウ関係当事者及び第三者とは、依頼者及び鑑定評価の結果について依頼者と密接な利害関係を有する者の    ほか、法律に義務づけられた不動産鑑定士による鑑定評価を踏まえ不動産の生み出す収益を原資として発    行される証券の購入者、鑑定評価を踏まえ設定された抵当権をもとに発行される証券の購入者等をいう。 

   想定上の条件が妥当性を欠くと認められる場合には依頼者に説明の上、妥当な条件へ改定することが必要    である。