2.事例の収集及び選択


2.事例の収集及び選択 

鑑定評価の各手法の適用に当たって必要とされる事例には、原価法の適用に当たって必要な建設事例、取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例及び収益還元法の適用に当たって必要な収益事例(以下「取引事例等」という。)がある。これらの取引事例等は、鑑定評価の各手法に即応し、適切にして合理的な計画に基づき、豊富に秩序正しく収集し、選択すべきであり、投機的取引であると認められる事例等適正さを欠くものであってはならない。 

取引事例等は、次の要件の全部を備えるもののうちから選択するものとする。 

 (1)次の不動産に係るものであること 
  ① 近隣地域又は同一需給圏内の類似地域若しくは必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域(以下「同一需給圏内の類似地域等」という。)に存する不動産 

  ② 対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等における同一需給圏内に存し対象不動産と代替、競争等の関係が成立していると認められる不動産(以下「同一需給圏内の代替競争不動産」という。)。 

 (2)取引事例等に係る取引等の事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。 

 (3)時点修正をすることが可能なものであること。 

 (4)地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。 


(留意事項)
Ⅴ 「総論第7章鑑定評価の方式」について 

1.価格を求める鑑定評価の手法について 
 (1)試算価格を求める場合の一般的留意事項について 
  ① 取引事例等の選択について
    ア必要やむを得ない場合に近隣地域の周辺地域に存する不動産に係るものを選択する場合について 
この場合における必要やむを得ない場合とは、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産について収集した取引事例等の大部分が特殊な事情による影響を著しく受けていることその他の特別な事情により当該取引事例等のみによっては鑑定評価を適切に行うことができないと認められる場合をいう。 

   イ対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等において同一需給圏内の代替競争不動産に係るものを選択する場合について 
この場合における対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等とは、次のような場合として例示される対象不動産の個別性のために近隣地域の制約の程度が著しく小さいと認められるものをいう。 

    (ア)戸建住宅地域において、近辺で大規模なマンションの開発がみられるとともに、立地に優れ高度利用 が可能なことから、マンション適地と認められる大規模な画地が存する場合 

    (イ)中高層事務所として用途が純化された地域において、交通利便性に優れ広域的な集客力を有するホテルが存する場合 

    (ウ)住宅地域において、幹線道路に近接して、広域的な商圏を持つ郊外型の大規模小売店舗が存する場合 

    (エ)中小規模の事務所ビルが集積する地域において、敷地の集約化により完成した卓越した競争力を有する大規模事務所ビルが存する場合 

   ウ代替、競争等の関係を判定する際の留意点について 
イの場合において選択する同一需給圏内の代替競争不動産に係る取引事例等は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。 

    (ア)対象不動産との間に用途、規模、品等等からみた類似性が明確に認められること。 

    (イ)対象不動産の価格形成に関して直接に影響を与えていることが明確に認められること。