(1)事例の収集及び選択


(1)事例の収集及び選択
 
取引事例比較法は、市場において発生した取引事例を価格判定の基礎とするものであるので、多数の取引事例を収集することが必要である。 

取引事例は、原則として近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとし、必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから、対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等には、同一需給圏内の代替競争不動産に係るもののうちから選択するものとするほか、次の要件の全部を備えなければならない。 

 ① 取引事情が正常なものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること。 

 ② 時点修正をすることが可能なものであること。 

 ③ 地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。 


(留意事項)
(2)取引事例比較法について 
この手法の適用に当たっては、多数の取引事例を収集し、価格の指標となり得る事例の選択を行わなければならないが、その有効性を高めるため取引事例はもとより売り希望価格、買い希望価格、精通者意見等の資料を幅広く収集するよう努めるものとする。 

なお、これらの資料は、近隣地域等の価格水準及び地価の動向を知る上で十分活用し得るものである。 

 ① 事例の収集について 
豊富に収集された取引事例の分析検討は、個別の取引に内在する特殊な事情を排除し、時点修正率を把握し、 及び価格形成要因の対象不動産の価格への影響の程度を知る上で欠くことのできないものである。特に、選択された取引事例は、取引事例比較法を適用して比準価格を求める場合の基礎資料となるものであり、収集された取引事例の信頼度は比準価格の精度を左右するものである。 

取引事例は、不動産の利用目的、不動産に関する価値観の多様性、取引の動機による売主及び買主の取引事情等により各々の取引について考慮されるべき視点が異なってくる。したがって、取引事例に係る取引事情を始め取引当事者の属性(本留意事項の「Ⅳ「総論第6章地域分析及び個別分析」について」に掲げる市場参加者の属性に同じ。)及び取引価格の水準の変動の推移を慎重に分析しなければならない。